高校生に読ませたい本

いつのまにかハテナ市民でなくなっていたたろへです。

暑くてそうでなくても悪い頭に霞がかかっているような状態ですが、こういうのには参加せずにおれません。
敬愛する国語教師、Sa10kazuさんのBlogから。

■緊急募集
http://d.hatena.ne.jp/sa10kazu/20060713

そこで、この日記を読んで下さっている諸兄にお願いです。なんか推薦図書を挙げては頂けますまいか?無論基準は何よりご自身が読まれて感銘を受けた作品ということですが、できましたらいまどきの高校生に薦めてやれるもの、容易に入手可能なものを。簡単な推薦理由や売り文句、出版社名など添えて頂けたなら無上の幸せ。更に目論みとしてはなるべく幅広い作品を挙げたいと思ってます。最近の作品、エンターテイメントから、海外の作品、所謂名作と呼ばれるものまで。また文学作品に限定する必要もないと思っています。

そりゃもうああた、「高校放浪記」(稲田耕三著)しかないでしょうと思い、価格などを調べにAmazonを検索するすると……。

えええええええええええ!絶版!?

実家に置いてある角川文庫の上下刊がこの世に出版された、最終形態……。

なぜだ!?

不貞寝しようと思いましたが、気を取り直して簡単な紹介を。

著者、稲田耕三が大学ノートに書き綴った自らの実話。
親、教師、世間に阻まれ思うように生きられない絶望感から、耕三は日々、喧嘩と暴力に明け暮れ、退学転校を繰り返します。その数なんと13回。
この物語は耕三が二十歳を過ぎて、ようやく高校の卒業証書を手にするまでが描かれます。
自分が正しいと思えば絶対に人に謝らない一本気な耕三ですが、誘惑に負けてしまったり、人の気持ちがわからないため勘違いによる暴走をしてしまったりと人間的に脆弱な部分も隠すことなく描かれており、好感がもてます。

圧巻だったのは、付き合っている彼女が自分を避けていると思い込み、彼女の口から血が噴出すほど思いっきり殴ってしまうところ。後に彼女の母親から、耕三のためを思い自ら身を引こうとしていたことを聞かされ、後悔にさいなまれます。

乗り越えなければならない壁は自分の内側にもある。そんなことを気付かせてくれる良書です。

続編の「地獄塾奮戦記」(耕三が学習塾を立ち上げるも、その一本気な性格から幾度も立ち退きを迫られ、転居を繰り返す「さまよえる教室」となってしまう。)ともども復刊を希望します。


んでは、現在でも入手が容易な作品を以下にあげていきます。

●「ジェニィ」ポール・ギャリコ 新潮文庫
裕福だが両親に省みられない少年ピーターは、ある日一匹の猫になってしまいます。家政婦に我家から追い出されたピーターは、町で出会ったジェニィという猫に「猫としての生き方」を教わることになりますが……。少年の成長物語。猫好き必読。

●「甲賀忍法帳」山田風太郎 角川文庫
「忍法帳シリーズ」記念すべき第一作目。ちなみに今では誰でも知っている「忍法」と言う言葉は故山田風太郎氏の造語。
互いの族長の孫が恋仲となったことで、ようやく積年の確執から解放されようとしていた忍法宗家、伊賀と甲賀であったが、その矢先に徳川家康より恐るべき秘命が下る。二代将軍の暗愚な長子か賢明な次子か、三代将軍を決めかねた家康は、甲賀と伊賀の忍者を選抜し戦わせ、勝った方に組した方に将軍を引き継がせようとする。
恐るべき傑作。がいこつ氏の言うように風太郎作品はこれから読むのがベスト。

●「夏への扉ロバート・A・ハインライン ハヤカワ文庫
恋人に裏切られ、友に背かれ、発明の特許を欺しとられ、何もかも失ったあげく冷凍睡眠で21世紀の未来に送り込まれた発明家ダニイは、真相をつきとめるためタイムマシンで再び過去にもどったが……。
何もかもを信じられる、幸せな感動を呼びます。「夏への扉」を探し回る、猫のピートがかわいい。

●「デッド・ゾーン」スティーブン・キング 新潮文庫
最近アメリカのテレにシリーズになり、スカパーでも放送されているらしいです。わたしらはデビット・クローネンバーグ監督、クリストファー・ウォーケン主演の映画版の方がなじみがありますが。
交通事故により昏睡状態にあった高校教師ジョニー・スミスは5年後、突然目覚める。
母親は悲嘆のあまり宗教キチガイになり、恋人のセーラは見知らぬ男の妻となっていた。さらにジョニーには、手を触れるだけでその人の過去や未来を見通す能力が備わっていた。
ある上院議員候補と握手したジョニーは、その男が将来地球を壊滅させることを予見してしまう……。
望まないのに出来そこないの神に仕立て上げられてしまった青年の悲劇。何度も読んでいるのですが、いまだに泣けてきます。


クライブ・バーカーのダークファンタジー「不滅の愛」(角川文庫)など、まだまだありますが、きりがないのでココまで。
なんか、参考になればよいのですが、Sa10kazuさん。
よかったらまた「松林」でお会いしましょう。