5月から楽しみにしていた劇団「維新派」の公演『ナツノトビラ』に行ってきました。

開演ぎりぎりの19時少し前、満員の場内で席につこうとしていると、メイクの名村ミサさんが客席まできて、挨拶してくれました。
「舞台袖に居なくていいんですか?」と訊くと
「あ、いや、ちょっと休憩」とのこと。すいませんわざわざ客席まで。
公演3日目ということでお疲れではないかと思っていたのですが、元気そうでなによりでした。
そうこうしてるうち開演。

あわわ、凄いセット。巨大でシンプルな立方体が積み重ねられ、都会のビル群を表現している。幾重にも折り重なったビル群の向こうには中空にさしかけられた橋が見える。
そして照明の角度、強さが変わるたび異なった陰影を舞台に映し出す。セットは同じ配置なのに瞬時にして別の場所に移動したように見える。映画のカットバックのように。

強く白い夏の日差しなかで、のっけから群舞。
単語を羅列し、リズムに乗せる役者さんたちの声は「ケチャ」を思い出させ、ある時は緊張感を、ある時は心地よさを観客に覚えさせる。
同じ動きを繰り返すことで、あたかもデジャビュを見ているような感覚をもたらす役者さんたちの動き。
機械的なようで、土俗的な面を覗かせる幻想的な音楽。
(あとで、この音楽は音楽家の内橋さんが舞台前中央のブースで即興で演奏していたのを知りました。すごい。)

セット、照明、役者さんたちの声・動き、音楽。これらがあいまって幻想的で美しく、懐かしく、残酷に、万華鏡のようにクルクル変わる夏の一日を表現しています。

セットや照明、衣装、メークの全てが、夏の暑くまぶしい光や、夕闇を効果的に表現できるようにトータルに配色されていておどろきました。5月の野外パフォーマンスを見ていても思っていたのですが、全体に細心の配色計画がなされています。

夏の一日に少女に起きた「死と再生」の物語(そう解釈しましたが)に二時間引き込まれっぱなし。アンコールのパフォーマンスも含め退屈するひまのない、芸術作品でありながらも立派なエンターテインメントだったと思います。

見終わって「あれ、幻覚やったんちゃうかな」と思いながら劇場をあとにしました。


私の文章力の拙さもありますが、感想書くの難しい。ぜひTV中継やDVDなど、機会があればご覧になってください。