静かにささやかに

「ふたりのイーダ」(松谷みよ子)読了。
戦時中に家を出たまま帰ってこない小さな女の子を、ずっと現代まで待ち続ける小さな椅子。
かわいく小さなファンタジーの世界を切り裂いて、戦争や原爆への怒りと悲しみが突如浮かび上がってくる。
戦争は終わってもその後遺症は人々を苦しめ、命を奪い続ける。昔の戦争でも今の戦争でもそれは変わりない。
それでも過去から続いてきた生命の河は未来へと静かに流れ、希望の明かりを川下に灯す。
それがどんなに小さくささやかな明かりでも、命あるものはその明かりを道しるべに歩きつづけるしかない。

ふたりのイーダ―子どもの文学傑作選

ふたりのイーダ―子どもの文学傑作選