寒い国から帰ってきたスパイ

『寒い国から帰ってきたスパイ』(ジョン・ル・カレ 早川文庫)読了。
まだドイツが、壁に隔てられ東西に分裂していた頃のスパイ小説。
まだ読んでなかったのが不思議なほど、昔から有名な作品なんですが、さすがに名作は古びないものです。

任務失敗のため放逐された英国情報部のベテラン部員リーマスは、東ドイツ謀報部に拉致され、過去に行ったスパイ活動について尋問される。しかしそれは英国の仕組んだ、東ドイツ謀報部の副長官を失脚させるための周到な計画だった。

007みたいにスーパースパイは出てきません。美人も出ません。
中年情報部員のリーマス東ドイツ謀報員との駆け引きが話の核ですが、恋愛や悲惨な結果となった任務の記憶に苦しみ悩むリーマスの日常生活を丁寧に描くことで、話に厚みとリアリティを生んでいます。
特にポジがネガへと反転したかのような終盤の展開から、悲哀に満ちたラストまでの数十ページは圧巻です。

これ読み終わって今読んでるのが、1996年から講談社のモーニングに連載されてた「かめ!」(ながいさわこ)1巻でし。「かめ」がとてもかわいくて、幸せでし。