『サマーウォーズ』感想(1)

ごぶさたしてます。といってもここ、ほとんどアクセス無いんで廃墟みたいなんですが、一応更新を。

夏に観た映画の感想を、秋口になった今頃に書くという間の抜けた事になってしまったのは、感想を書こうとすると、どうしてもネタバレになってしまうということと、何か釈然としないものを感じているのだが、それが何か分からないからだった。
なんとなく、わかったような気になったのでボチボチ書いてみる。

アニメ映画『サマーウォーズ』は『時をかける少女』の細田守監督の作品。
で、結論から言うと惜しい映画でした。

基本アイデアや、演出、美術はすばらしいんだけど、圧倒的な感動作とまではなりませんでした。
世界崩壊の危機から世界を守ろうと、27人の田舎のご親戚一同が立ち上がるという基本プロットは面白いんだけど、観ている間に醒めてしまう部分が多々あるんですよね。

(以下、基本ネタバレ無し)


■あらすじ
高校2年のケンジは、あこがれのナツキ先輩から夏休み一緒に田舎に旅行するというバイトを持ちかけられ引き受ける。
行き先はナツキの故郷、長野県上田市の陣内(じんのうち)家。陣内家の当主、栄おばあちゃんに、ナツキはケンジを「自分のフィアンセ」だと紹介する。仰天するケンジ。バイトの本当の内容は、陣内家27人のご親戚一同の前でフィアンセとしてふるまうことだったのだ。
初日の夜、ケンジは携帯メールに着信した数列を解析し、答えを返信してしまう。それが10億人が参加する世界的な電脳ネットワーク"OZ"を崩壊させ、世界の危機をまねく事も知らずに。


■良い点
1)テンポ良く進むストーリー。
特に巻頭の10分間だけで電脳世界"OZ"の社会における位置づけと、主人公達の紹介がなされてしまうところは見事。
ラストまで飽きずに画面に注目させる演出手腕はさすがだと思います。


2)田舎の大家族のみなさんの日常描写が非常にいい!
0歳から92歳まで年齢の違った27人の大家族が、大きさの違うちゃぶ台やお膳を並べて、一斉に夕食を食べるシーンは、圧巻ですらある。ちゃんと全員がそれぞれ違った動作をしているのが楽しい。

その後、食事シーンが多々登場するが、それがそのまま、その時の「ご親戚一同」の心のあり方を表現していてる(最後の食事シーンは家族の再構築を表している)。

その他、お風呂からあがった2歳の女の子が、大きな家の中で迷ったケンジの横を丸裸でちょこちょこ歩いていくところなど、親戚の家に泊まった時によくある光景が、アニメで再現されて面白い。


3)田舎の風景が美しい。
あさがおで埋め尽くされた野原、青い空に入道雲。夜明けを、あさがおが咲くことで表現した繊細さ。


4)電脳世界"OZ"の精緻なデザイン。
一方、田舎と対局にある電脳世界"OZ"の美術は精緻の極みと言った感じで良い。
最初は「おええ、村上隆かよ」と思ってしまったが、なんのことはない。調べてみたら村上の作品と思われているヴィトンのプロモPVは細田監督の作品ですた(村上はプロデュースのみ)。


はい、長いから、一旦ここまで。
次は「悪い点」について書く予定。こっちの方が長くなるんじゃないかな。次回はネタバレ含むのでちうい。