おりえさんへの反論

私は人の好き嫌いに意義を唱えるほど野暮ではない人間のつもりでした。
しかし以下の意見には半分異論を述べさせていただきます。
確かに本筋は正論ですが、私も参加している「そうさく畑」というイベントがあたかもクズであるかのようにWEB上で公言されて黙っていられるほど、私は人間できていません。

私は昨年の7月から2回ほど「そうさく畑」というまんがや小説の個人誌/同人誌の即売イベントに参加しています。知り合いに誘われてというのが一番大きな動機でしたが、2回目からは、「頭の弱いすなめり」や「しあわせ」を知り合い以外の方に読んでいただきたいと思い参加しています。いろんなアマチュア作家さんに会えるしね。

で、まずはおりえさんのBlogをお読みください。
http://d.hatena.ne.jp/oriemon/20040617

おりえさんの文章について、自分なりに理解した要点をまとめておきます。前提条件が間違っていると、後の私の文が成り立たないもんで。

【おりえさんの意見要約】※()内はたろへ@たにしの補足です。
1.「何か作ってないと生きていけないの」とか云う人が嫌いだ。(作品を作ることに対して)楽しめないと(ダメ)だろ。

2.「ものを作る(まんが・文学・音楽など)」ってことは、特別なことじゃない。「創作」なんて言葉を口にして特化しようとするからややこしくなるんじゃないのか。

3.「そうさく畑」(文中「創作畑」)は大きな会場を貸し切ってのオナニー大会である。
4.(そうさく畑参加者には)プロ意識がなく、「(作品は)客がお金を払って読むもの」であるという意識が完全に欠落している。にもかかわらず「プロを目指している」などというふざけたことを言う奴がいる。

5.締切りがあるだとか、そういうのを素人同士でやってるのは、サークル活動。今度の販売会に間に合うように作るってのは、違うと思う。ただ何かに間に合わせるために作って公開して、それに対して「時間がなかった」だとか「もっとここをこうすれば良かった」なんて言い訳を口にするなんて愚の骨頂だ。

全然要約になってないですが、私がこの日記から読み取れたことは以上です。
それに対する私の意見は以下のとおりです。

☆賛成する点
1.【「何か作ってないと生きていけないの」とか云う人が嫌いだ。】
好き嫌いの問題なので何とも言えませんが、「何か作ってないと生きていけない」人間は確かにいるようです(色川武大「したいことはできなくて」をぜひ一読いただきたい)。ただし、中途半端に作品を作ってる人間でこれを言う奴がいれば、私だって「じゃ、死ね」と言いますね。「作らないと飯が食えないの」ならわかりますが。
作品を作るのが楽しいということはもう前提条件でしょ。楽しくなければやりません。

★反対する点
2.【「創作」なんて言葉を口にして特化しようとするから〜】
確かに「そうさく畑」は"創作"と言う言葉を使っています。ただしこれは、出品する作品に、アニメなどのパロディは認めないという制限を設けているからです。オリジナル作品のみ出品可能なイベントです。
それをもって「創作」という行為自体を特権的なモノとして認識しているわけではありません。第一、「創作」を特権的なモノとして認識していたら「素人」のサークルなんて恐ろしくて参加できません。
また、おりえさんの書き方だと、「そうさく畑」自体が「創作」と言う行為をいかにも高尚に考え、あたかも自分が特権階級であるかのような錯覚に陥っている人間ばかりのように印象付けられます。そんな人もいますが、全部がそうだということはありません。

3.【「そうさく畑」はオナニー大会】
4.【「客がお金を払って読むもの」であるという意識が完全に欠落している。】
そういう面もあるでしょう。「プロ」になれない「素人」が締め切りだの落ちただの業界人ぽく振舞うために作ったようなサークルもあるでしょう。しかし本当に「乱雑な作品の山」ばかりでしたか?中にはそういうのもあるでしょう。私の「作品」だってコストのかかった紙くずに過ぎないのかもしれません。

でも、中には「プロ」ではないにしろ「人を楽しませたい」という意識を持った参加者もいるのです。
例えば、ぽらんぽらんさんの本は内容も可愛らしいものでしたが、普通にホッチキス留めで製本するのではなく、雰囲気を出すため一冊ずつ、ルーズリーフのようにパンチを打った穴に毛糸を通して製本してありました。「内容と関係ないやん」とか笑う向きもあるでしょうが、そこまで大事に丁寧に作られていました。たいへんだったろうと思います。
また、たき むつみさま制作の「缶バッチ」など、デザインや造作も普通に売られていてもおかしくない出来です。
その他、買う方のことをきちんと考えた作品や商品はちゃんとありましたよ。

意識や熱意も低いのに「プロを目指している」なんていうのは、私も笑っちゃいますけど、ただ打上げの宴会でたまたま隣にいた奴の見解がそのイベント参加者のすべての見解だなんていうのはちょっとやめて欲しいですね。
その人だって「可愛い女の子に話しかけられたからちょっとええかっこをしてしまった」などと思っているかもしれないではないですかw。

5.【締切りがあるだとか、そういうのを素人同士でやってるのは〜】
素人なんだから作りたいときに作ればいいというのは賛成です。私もそういう考えでやってます。
ただ、具体的な日程の締め切りがあったほうが、目標が定められてモチベーションが高まるということもあります。
また、複数人数でなおかつ印刷所に発注をしているサークルの場合、一人欠けたら印刷できなくなるというケースもあるので(印刷は印刷可能なページ数の下限がある)、本人にとっては重大なことであるというのもうなずけます。


最後になぜ私が「そうさく畑」に参加費払って参加しているかというと、やはり自分の作ったものは他人に見てもらいたいからです。画力も才能も全然ないですけど、それでも他人に読んでもらいたい。何か心を動かしてみたい。そして、一人でも多くの方の意見を聞きたいと思っているからです。
私の本を買ってもらった方から「すなめりちゃん、可愛いですね」と言われると嬉しいですし、厳しい意見だってちゃんと参考にしていきたいと思っています。だから真面目に活動をしているサークルの多い「そうさく畑」に参加しているのです。

今回のおりえさんの文章の意図は「そうさく畑」を攻撃することではなく「創作」に対する人のあり方、考え方についての意見であり正論であると思います。でもやっぱり、私は一言言いたい。あなたの回りにしか正しい人間はいないのですか?私達のやっていることは間違っているのですか?(別に好き嫌いは仕方ないですが)。